太田述正コラム#2268(2007.12.30)
<ブット暗殺(その3)>

<鎌倉人>

http://www.jaas.or.jp/pdf/49-1/5-18.pdf
 これの参考文献リストを見ると、マウドゥーディーに関する論文もありました。

<太田>

 ご教示、ありがとうございます。
 しかし、Maudowdiについては、ちょっと触れているだけですね。

<koyuki>

 こまりますねえ、太田さん。(コラム#2265で)ご提示くださったNouvel Opsは、フランス語の普通の書き方で現在形で書いているのですよ。まずフランス語をきちんと読めるようにしてください。
 Maudowdiがイスラミスム三大思想家だといっているのはGilles KEPELです。世界的に有名な中東(イスラム)政治・社会学者です。まさか太田さんほど博識なかたがご存じないはずはありますまい。
 あなたのアングロサクソン崇拝は噴飯ものですが、現在少々忙しくて、それにきちんと対応している時間がありません。来年の春以降になれば、あるいはその気になるかもしれません。

<太田>

 思わせぶりな物言いがお好きな方ですなあ。

>Mawdoudiについては、西側世界ではほとんど知られていない・・・
とりわけ、アングロサクソン世界では全く知られていない、無視されているということですね。

という私のとりあえずの判断が間違っているならきちんと理由をあげて説明していただきたいものです。

 そもそも、MawdoudiもGilles KEPELも私は知りませんが、お気に障りますか?

>アングロサクソン崇拝

 私のはアングロサクソン崇拝というより、アングロサクソン・西欧対置論ですが、ついに本格的な批判者が現れたかと心躍ります。
 できるだけ早くご高説をうけたまわりたいものです。
 その際は、思わせぶりな物言いは止めてすぐ本論に入ってくださいね。

<ホッシュジエンの国内ニュース>

 パキスタンでは、暗殺されたブット元首相の支持者らが激しいデモを行うなど、29日も混乱が続いている。
 パキスタン最大の都市・カラチでは29日、政府への抗議デモが行われているほか、暴徒化した一部の群衆が車両を焼き打ちにするなど、混乱が広がっている。
 一方、パキスタン政府が「暗殺に関与した」としたイスラム武装勢力のベイトラ・メスード司令官は29日、声明を発表し、「我々は女性を攻撃しない」と、事件への関与を強く否定した。
 パキスタン政府は親米だから対立政党の代表をアルカイダが暗殺する理由はないだろう。
 ブットの父も親米でしたが米はムシャラフを支持。
 アルカイダがブットを暗殺する理由はないですね。(・A・ )

07.12.30 日テレ「メスード氏、ブット氏暗殺への関与を否定」
http://www.ntv.co.jp/news/100315.html

<太田>

>ブットの父も親米でした

 違います。(米国も含め)反西側的言辞を弄し続けた人物です(
http://www.nytimes.com/2007/12/30/weekinreview/30bumiller.html?hp=&pagewanted=print
。12月30日アクセス)。
 ちなみに、ブット女史の後首相になり、国外退去処分を経てブット女史の後パキスタンに戻ったシャリフ(Nawaz Sharif。1949年〜 。パキスタン・ムスリム連盟=Pakistani Muslim League党首)も同様です(
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2007/12/29/AR2007122901490_pf.html
。12月30日アクセス)。

>アルカイダがブットを暗殺する理由はないですね

 これも違います。
 ブット女史は(ブット父やシャリフとは違って)根っからの親米派であり、極めて欧米化した人物である上、民主化を追求するとともに世俗主義を掲げている人物でもあり、しかもその人物が女性ときているのですから、それだけでもイスラム原理主義者やそのシンパが目の敵にするのは当然です(
http://www.guardian.co.uk/pakistan/Story/0,,2233038,00.html
。12月29日アクセス)。
 しかも、ブット女史は、パキスタン中で最も激しくイスラム原理主義勢力批判を行っており、彼女が首相になって実権を掌握すれば、米国の意向を受けてこれまでより積極的な対イスラム原理主義勢力軍事作戦を展開すると目されていたのですからなおさらです(
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2007/12/29/AR2007122901185.html
。12月30日アクセス)。
 だからといって、イスラム原理主義勢力が今回のブット暗殺の下手人であると断定できるわけではありません。
 ブットが1990年代に核関連物資を「輸出」したカーン博士に対する欧米の諜報機関による尋問を認めるべきであると主張しているところ、そうなれば自分達の「悪事」が暴かれてしまうことを懼れる軍部関係者が暗殺の黒幕である可能性だってあるからです(
http://observer.guardian.co.uk/focus/story/0,,2233290,00.html
。12月30日アクセス)。
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(続く)
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太田述正コラム#2269(2007.12.30)
<映画二本:ベオウルフとリンカーン>

→非公開