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太田述正コラム#2180(2007.11.15)
<私の手の内公開>(2007.12.5公開)

 (本篇は、コラム#2179の最後の部分に係る私の手の内を公開したものです。当分の間、一切の言及・引用・転載を厳禁します。)

1 始めに

 1999年から2000年にかけての、私の日記からの抜粋をご披露します。

2 政治家の口利き
 
(1999.7.12 月)
1710−:額賀前<防衛庁>長官に<担当審議官として白書案を>説明。中期防の何たるかもご存じない。短期間の長官だったとはいえ<・・・後略>

(2000.3.2 木)
・・・
1700過ぎ:<仙台防衛施設局の>総務課内でカニ等をさしみにビール、大吟醸。(その間、額賀官房副長官から官房長に、山形の松田組の口添えをしているのに、動きが悪いとのクレームが入ったと<局の>建設部長が言ってきた。11年度に一回指名しているが、落札していない。後は、この業者が土木B建築Aのランクで、工事のランクが合わず、指名できなかったもの。金曜、技術審議官が説明に行くことになった。額賀議員は茨城県選出だが、「ブルータス、お前もか」と言いたくなる。)

(2000.3.14 火)
1045:山形県の松田組が挨拶に来た。例の額賀議員がらみの話。建設部長から、本庁技術審議官より、丁重な対応をと言われているとの話があった。(株)松田組代表取締役会長松田庄治、同社取締役副社長松田登両氏。(地元出身の元防衛政務次官と同じ派閥で同期の額賀氏の後援会に入った。額賀氏の秘書の太田氏から、局の局長のところに顔を出せと言われた。)純朴そうな人々。懇談。
・・・
1730:<局の>世利施設部長、額賀官房副長官より、今度はMCDという業者が三沢の遊具((運輸省・県の事業の航空記念館が設置される)青空広場の遊具?)に関心を持っており、三沢市長に面会を希望しているとの話が官房長から伝達されてきた由。市の窓口も秘書課も、前市長が汚職でつかまったこともあり、現市長は業者とは一切会わない方針だと言っているとのこと。

(2000.7.7 金)
1100:<局の>建設企画課長来訪。まず、政治家等の口利きと対応ぶりの説明を聴取した上、再就職システムの話を聞く。「自分達にとって、建設部OBが企業にいてくれると、仕事が円滑に進むのでありがたい。企業にとっても、彼等はお役に立っていると思う。他方、建設部OBでない人は、何の役にも立っていないのではないか。ただ、今後は建設部職員の技術力が急速に衰えていくので、悩ましい。いずれにせよ、OBがいるからといって、指名等に手心を加えるようなことはしていない。」

(斡旋利得議員等リスト・・参考)(注:8月25日の記述を参照)

額賀福士郎(衆議院議員(自民)。元防衛庁長官。当時内閣官房副長官。99.4.23。00.3.2(官房長経由)):南陽市。土木。指○(10年度まで営業回数0。11年度に53)*
XX(当時・・。99.10.05):港区。舗装。契○
□□(元・・防衛施設局長。99.11.01):仙台市。建築。指○
△△(・・県議(自民)。99.11.22):仙台市。土木。指○
○○(元調達実施本部長。99.11.22):北区。通信。指○
加藤紘一(衆議院議員(自民)・元防衛庁長官。99.11.26):鶴岡市。管。指○
依田智治(参議院議員(自民)・元防衛事務次官。当時防衛総括政務次官。99.12.7):秋田市。電気。指○。*
玉澤徳一郎(当時衆議院議員(自民)・元防衛庁長官。00.2.23):盛岡市。建築。契○
中谷元(衆議院議員(自民)・防衛大出身00.6.5):山形市。建築。×(営業回数0)

 (注)*は、指摘して追加させたもの。

太田脚注:「指」は指名競争入札に指名して参加させたかどうか、「契」は更に落札受注に至ったかどうかを指す。住所は業者の住所。なお、中谷元議員は、2001年に防衛庁長官に就任。

伊藤公介(衆議院議員(自民)。99.12):三沢飛行場第2種区域における北多摩建設興業(株)所有の土地(宅地等3筆約3000平米)の買収。H13概算要求。
浜田靖一(衆議院議員(自民)。99.11.10)・浜田幸一(当時元衆議院議員(自民)。00.3):三沢飛行場第3種区域における宮古喜三郎所有の土地(農地等3筆約5300平米)の買収。H13概算要求。
大島理森(衆議院議員(自民)。00.3)・田名部匡省(参議院議員(無所属の会)。00.6):三沢飛行場第2種区域における佐藤和幸所有の建物等(共同住宅3棟(11戸)、宅地等5筆約3600平米)の移転。H14以降。

 (注)7月11日に施設部から説明を受けたものだが、ここに一緒に掲げた。

太田脚注:浜田親子はどちらも元防衛政務次官。なお、私が提供した以上のリストをもとに、昨年の7月3日の朝日新聞朝刊一面トップ記事が書かれた。ただし、この記事では政治家名はすべて匿名になっている。

(2000.8.25 金)
・・・
1330:伊藤宗一郎衆議院議員秘書青沼裕之(松島基地事故の防衛庁陳情には(選挙区なので)つきあった。選挙区出身の守屋官房長と伊藤議員から、ふるさとに行くのなら、お父さんと一緒に局長の所にご挨拶に行けと言われた。父の会社に是非おつき合いをお願いしたい。)、(株。小牛田町)河北エンジニアリング代表取締役社長青沼豊(宏之氏の実父。伊藤後援会の幹部。当局とはこのところ毎年指名されている関係。昨年度と二年前の年度は落札あり。)両氏。懇談。何たる無神経!しかし、現在与党三党間で調整中の斡旋利得罪では、青沼氏は私設秘書だと思われるので、はなから罪の対象とはならない。しかも、正規の政治資金しか拠出していないとすれば、自民党案では仮に青沼氏が公設秘書や政策秘書であったとしても、罪の対象とはならない。日本の政治の明け方が来るのはいつなのか。
1430:<局の>建設部長に上記陳情を取り次ぐ。後で説明ができればいいだけ、と申し添える。

太田脚注:伊藤宗一郎議員は、元防衛庁長官。

3 終わりに

 当時の私の心境・・現在の私の心境でもあると言ってよい・・がよく分かる箇所を最後に掲げておきます。

(2000.12.30 土)
・・・
<メールのコピペ>

●●様

・・・
 諸々のその後の「経緯」をご報告させていただきます。

 当初から、民主党から比例でで出ることも考えてはいたのですが、ご案内のような選挙制度改正が行われ、これではダメだとあきらめていました。
 ところが、留学時代の友人が、いわば勝手に私のことを(参議院選の新人発掘を担当している)浅尾慶一郎参議院議員(まだ若い!)に話をしたところ、先週末、直接、強く比例選への出馬をうながされました。
 私の物の考え方で民主党として問題はなく、インターネット中心の選挙運動を行い、費用はすべて党が持つということでした。
 民主党に対する●●さんの見方はうかがいましたし、多分その通りなのだと思います。 しかも、(民主党には損のない話ではありますが、)私にとってはリスクは余りにも大きく、間違いなく落選すると覚悟を決める必要がありましょう。
 しかし、なおかつ、私としてはただちにこの話を断る気にはなりません。あえて捨て駒になるべきではないかとすら思います。
 その理由は次の通りです。

 第一には自民党と防衛庁(プロパー)の「腐敗」問題です。
 自民党は、加藤紘一さんであれ、額賀経企庁長官であれ、今後を担うと評されている人々を含め、その「斡旋利得」の実態はあきれかえるばかりであり、少しも変化の様子はありません。
 防衛庁について申せば、例えば、(やはり●●さんにご心配をおかけした、)防衛庁のコンピューターネットワークの件については、事態を私の望む方向に急展開させたのは、(前の)装備局長に対して執拗に送りつけられた(日立の競争相手の社からと思われる)投書であったことが判明しました。不祥事になることを恐れた装備局長(通産)が現在の事務次官(大蔵)と相談し、急遽入札方針を変えた結果、いい方向が出てきたといいうわけです。担当者達は、なぜ入札方針が変わったのか、分からず、今だにキツネにつままれた思いでいます。
 とにかく、このような政権党と軍事官庁の「腐敗」を何とかしなければ国がつぶれます。

 第二には憲法・安全保障政策です。
 自民党は、党是たる憲法改正を先送りしてきたばかりではなく、この期に及んで防衛庁の省昇格さえ見送りました。
 自由党は、集団的自衛権を明確に否定してしまいました。
 このままでは日米関係も、(とりわけ共和党政権との間では、)悪くなるばかりでしょう。
 残された可能性として、鳩山党首(?つきの方ではありますが、)が「がんばっている」民主党に期待するしかありません。

 (いささか、矮小化して申し上げれば、次回参議院議員選挙には自民党と自由党から防衛庁出身者(いずれも現職)が一人ずつ比例で出馬しますが、このままでは、防衛庁関係者で、義理堅く、かつ真面目に物事を考えている人達は、投票する対象が見つからず、呻吟することでしょう。)

 というような次第で、私にとっては何とも重苦しい年末年始になってしまいました。
 ・・・
                    太田述正
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<太田>

 名前を隠した部分あり。
 「・・」は日記の記述を飛ばした箇所。
 文中、「<>」内、及び「脚注」箇所は、コラム用に私が挿入したもの

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