太田述正コラム#2177(2007.11.14)
<日本の恥部>

 (本篇は、本日発売の「FORUM21」138号 (11月15日)の巻頭言・閻魔帳に掲載された拙文です。)

 防衛省の前事務次官の守屋・・入庁同期なので、この際呼び捨てにさせていただきます・・の不祥事が世間を騒がせています。

 亀田一家の話よりこっちの方がずっと面白いと思うのですが、私がTVに登場する予定であったところ、亀田一家の話に急遽差し替えられたということがありました。

 どうして守屋の事件が面白いか?

 それは、この事件を掘り下げて行くと、日本の恥部が炙り出されてくるからです。

 日本の恥部とは、政官業の癒着体制のことですが、日本の主要マスコミがこの癒着体制の隠蔽に意識的無意識的に加担してきたという経緯があります。

 皆さんは、報道の自由度ランキングで、世界169か国中、昨年日本が何位だったかご存じですか?

 20位くらい? 違います! 51位です。

 もっとも今年は37位に「躍進」しましたが・・。

 とにかく、10数年前まで軍事独裁政権が続き、今なおマスコミ弾圧法が存在する、お隣の韓国と毎年このランキングでデッドヒートを演じている、というなさけなさです。

 ランキングの解説を読むと、その理由として、日本には記者クラブ制度があることと、暴力団等に関する社会的タブーが存在することが繰り返し挙げられています。

 第一、このランキングの話だって日本の主要マスコミはほとんど取り上げていないでしょう。

 いずれにせよ、報道を自主規制ばかりしている日本の主要マスコミの質が、英米の主要マスコミは言うに及ばず、韓国の朝鮮日報にも劣るレベルにあることは不思議でも何でもありません。

ウソだと思うのなら、ご自分でお確かめください。

 実は私は、守屋事件に関して、ゴルフを含む接待などキャリア官僚なら今でもみんなが受けている、また、だからと言って接待の見返りに業者に便宜を図ることなどまずありえない、更に、官庁が業者と契約する時は、通常、何人OBを天下りさせるかという裏契約が同時に締結されるが、山田洋行のケースでも、防衛省キャリア等への接待費用と、天下った防衛省OBに支払われる給与(ヤミ年金)とでは金額が1対100くらい違う、どうして接待なんてゴミみたいな話を問題にするのか、それに、どうして小沢民主党代表への山田洋行からの政治献金や小沢氏の側近の一人である元民主党議員(もともとは公明党議員)の山田洋行への天下りをもっと問題にしないのか、と指摘し続けています。

 この私の指摘を最初に取り上げてくれたのは、大阪の讀賣テレビであり、次いで東京新聞(名古屋の中日新聞)でしたが、これは、関西圏のマスコミが首都圏の主要マスコミに比べて権力との癒着度が低いからではないか、という気が私にはしています。

 こんな日本に住んでいることをあなたは空恐ろしいと思いませんか?

 空恐ろしいとお思いなら、一緒に戦いましょう。
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 以上で、掲載された拙文は終わりですが、それにつけても心配されるのはNHKの本件に係る報道ぶりです。
 何せ、昨日の段階で、本件で実質的に初めての取材が私に対してなされた上、聞きたいのは守屋の人柄と、どうして守屋が事務次官までなれ、しかも長期間事務次官でおれたのか、なのですから。
 取材の際、そんなこと調べたって何の意味もないことを懇切丁寧に説明したつもりなのですが、その後、この記者と以下のようなメールの交換があったのでご披露しておきます。
 最近私は、NHKをほとんど見なくなりましたが、NHKもまた、自民党や民主党ともども解体的出直しが必要なようです。

<NHK記者>(昨日深夜)

 きょうはお忙しい中、ありがとうございました。
 早速ですがメールをさせていただきました。
 話の中であった以下の方の連絡先を教えていただきたく思います。

・GEジャパン副社長
・小西さん
・太田さんの同期の方の連絡先
・守屋さんのことを知っていると思われる人々

 それと1つ、なぜ、守屋さんが省内で求心力を持ったのかわからないのです。太田さんは政治家とのたちまわりがうまかったからと言っていましたが、それだけの理由とは思えないのです。
 それと初めに、防衛省は守屋一派だからとおっしゃっていました(注)が、その理由はなんですか? 

 (注)そんなことは言っていない。(太田)

 なぜ省内はオール守屋なのですか?
 守屋さんは防衛省の「天皇」といわれていた人です。
 豪腕というか、やはり途中ぐらいから、出世する上で上司に媚を売るとか、頭角をあらわす何か別の理由があったと思うのですが、どうでしょうか。
 お疲れ&お忙しいところ恐縮ですが、よろしくお願い致します。

<太田>(本日朝)

 申し訳ないが、昨日時間をかけて私が色々お話ししたことが全くムダになったようである以上、一切ご協力できません。
 最後に老婆心ながら2点申し上げておきます。
 民放の記者を含め、私に

・太田さんの同期の方の連絡先

を聞いた記者の方は一人もいません。
 もとより、NHKも組織としてでなく、記者個人の単位で取材活動をされているものとは拝察しますが、どの記者の方もそれくらいの情報は、とっくの昔にご自分で入手していたということです。
 いずれにせよ、このことに限らず、個人情報に類することについては、社、ないし記者の方個人の取材方針が私の納得いくものでない限り、お教えするつもりはありません。

また、

・守屋さんのことを知っていると思われる人々

は愚問です。
 防衛省キャリアOBや現役は多かれ少なかれみんな守屋のことを知っているからです。
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太田述正コラム#2178(2007.11.14)
<政治家による官僚の接待>

→非公開