今次総選挙と日本の政治(補足1)

 コラム#184と185でいささか日本の政治を持ち上げすぎました。日本の政治は、二つの深刻な問題点を抱えており、このままで日本の政治が世界の範例となることはありえないでしょう。

1 キャスティングボードを握っている公明党

 矢野穂積・朝木直子「東村山の闇―「女性市議転落死事件」8年目の真実」(第三書房2003年11月)を読みました。著者のお二人はともに東村山市議であり、殺害された「女性市議」朝木明代さんの同志と娘さんということで、怒りがみなぎった筆致となっており、繰り返しも多く、ちょっと読みづらい本です。

しかし、書かれている内容はこの上もなく重いものです。 1995年に起こったこの殺人事件については、当時マスコミで相当話題になり、国会でも取り上げられたので、ご記憶の方も少なくないと思います。

 東京都東村山市は、創価学会の勢力が強いところで、市議26名中、(建前上はともかく創価学会の政治部以外の何者でもない)公明党は6名で、自民党の7名等とともに与党を構成しています。

 明代市議は、議員活動の一環として創価学会脱会者の支援や人権侵害の被害救済活動を行っていたことから、東村山市の創価学会員や公明党市議らと緊張関係にありました。このような背景の下で、1995年に明代議員を被疑者とする万引きでっちあげ事件が起こり、更にその直後に明代議員殺害事件が起こったのです。

当時捜査当局によって、昭代市議は万引きの被疑者として送検され、また、昭代議員のビルからの転落死は万引き発覚を苦にしての自殺と断定されてしまいます。

 ところが、所轄の東村山警察署で転落死事件の捜査及び広報の責任者であった副署長も、彼の下で捜査を担当した刑事課員も、また、捜査を指揮した東京地検八王子支部の支部長及び担当検事もことごとく創価学会員だったのです。

 昭代市議をビルから突き落として殺害した人間は創価学会関係者の疑いが強かったため、彼らは公僕としての義務よりも創価学会への忠誠を優先させ、創価学会の組織防衛に走ったと思われます。

 しかし、彼らの画策したでっちあげや隠蔽工作は、この本の著者達やマスコミによって、創価学会の執拗な妨害を受けつつも、徹底的に暴かれ、社会の厳しい批判に晒されることになります。

 なお、明代市議の殺人犯はまだつかまっていません。

 創価学会は、1996年にフランスの国会の委員会がとりまとめた報告書において、フランス国内最大規模のカルト(cult)(注1)と名指しされています(注2)。

 (注1)カルトの定義は確立しているとは言い難いが、’An organization
    that uses intensive indoctrination techniques to recruit and
    maintain members into a totalist ideology’(http://www.ex-
    cult.org/General/cult.definition。11月25日アクセス)でいいのではないか。この定義の中に「宗教」という言葉が出てこない点に注目されたい。ちなみに、手元にあるコンサイス等の日本の英和辞典には、あさっての方を向いたとぼけた訳語しか載っていない(太田)。

 (注2)この報告書では、カルトとは、次の5点をみたす団体だとしている。
    (少し手を入れた(太田)。)
   (1)精神的な動揺を与えて入会させる
   (2)会員をそれまでの環境から断絶させる
   (3)会員に法外な金銭を要求する
   (4)反社会的言論や裁判沙汰が多い
   (5)公権力への浸透を図る

 (以上、特に断っていない部分は、矢野・朝木 前掲書より)

 こんな創価学会すなわち公明党が、1993年、非自民連立政権の下で初めて政権の一翼を担い、1994年には創設メンバーとして新進党に合流し、1999年からは死に体の自民党を与党として支える、という具合に日本の政治のキャスティングボードを握っています(注3)。

 (注3)公明党自身が、自分のホームページで、「1998年<に>政策の決定権
   (キャスチングボート)だけでなく、日本の政治の決定権を握ること
   になった」と高らかに宣言している(http://www.komei.or.jp/about/
   history/index.htm。11月25日アクセス)。

 背筋が凍るような話だとお思いになりませんか。

 (次回は、「2 55年体制の残滓」です。)