太田述正コラム#0361(2004.5.26)
<第二回小泉・金会談について(その3)>

 (4)米国の韓国放棄
 以上見てきた核攻撃力、核防御力、通常兵力の強化は、第一義的には米国自身のためであり、第二義的には日本のためですが、おそらく韓国のためではありますまい。
最近の米国の動きを見ていると、米国は韓国を見限り放棄した、と言ってよさそうだからです(コラム#80参照)。

 ア 破綻状況の米韓諜報協力
既に米韓諜報協力は破綻状況にあります。
かつて米国が北朝鮮関係の偵察衛星情報を迅速かつ詳細に韓国に開示しなかった時期があったものの、その後そんなことはなくなりました。しかし、金大中大統領時代から今度は韓国が北朝鮮からの亡命者を米国の諜報担当者には簡単には会わせないようになったばかりか、亡命者から得られた情報も米国に迅速かつ詳細に開示しなくなり、この状況はますますひどくなってきています。北朝鮮抱擁政策を推進してきた金大中政権やノ・ムヒョン政権としては、北朝鮮を刺激するようなことは極力避けたいのです。(北朝鮮の核兵器開発状況がいつまでたっても良く分からない原因の一つは、米国が自分の偵察衛星等によって物理的に得られた情報と、かつて韓国から得られていた人を介した情報(humint)の突き合わせができないところにあると言われています。)(http://www.csmonitor.com/2004/0311/p07s01-woap.html。3月11日アクセス)
 米国が韓国に提供した、平壌を射程に入る地対地ミサイルの配備が近々始まります(ロサンゼルスタイムス上掲)が、これでもう義理は果たしたということでしょう、米国は韓国から、将来の北朝鮮核施設への攻撃のために残置すべき必要最小限の兵力・・在韓の米陸軍第8軍司令官の言によれば、「ミサイル防衛システム・・及び前方事前配備装備を防衛する部隊、指揮統制(C4I)関係部隊、第501軍事諜報旅団、並びに第一通信旅団」(要するに、諜報・偵察部隊とこれを防御する部隊)・・を除いて韓国から撤収する可能性が取り沙汰されています(http://english.chosun.com/w21data/html/news/200405/200405250035.html。5月26日アクセス)。

  イ 在韓米軍の後方移転
まず最初に昨年、米国は韓国に次の三点を骨子とする要求を正式にぶつけました(http://www.jiia.or.jp/report/column/0307_tomoda.html。5月25日アクセス)。

ア 非武装地帯付近に配置されている米第二師団(全兵力28,000人、内非武装地帯付近に14,000人)隷下部隊およびソウル市内龍山(ヨンサン)に所在する在韓米軍(総兵力37,000人)司令部を2006年までに後方に移転させたい、
イ 従来米軍が受け持ってきた前線での防衛責務を韓国軍が肩代わりしてほしい、
ウ 在韓米軍の役割を朝鮮半島に限定せず北東アジア全域の安全保障に役立つよう変えたい、

アは、米軍はトリップワイヤー的立場(=北朝鮮が侵攻してきた時、自動的に米軍が戦闘に巻き込まれることによって、米国の韓国防衛へのコミットメントを担保する)から降りたい、米国が北朝鮮の核施設を攻撃した際に米軍が北朝鮮の反撃の標的にならないようにしたい、ということであり、ウは、韓国自体の防衛については、米軍への依存はやめて、第一義的には韓国軍が担って欲しい、ということであり、イは、アとウに伴う措置です。
ノ・ムヒョン政権はしぶしぶこれらの要求を飲みましたが、イに関しては、韓国政府が防衛努力を強化する気配は全くありませんし、アに関しても、(龍山米軍基地の撤去が韓国の左翼の反米運動の大きな目標の一つであったというのに、)今度は移転予定先の各地で受け入れ反対運動が起こっており(http://japanese.chosun.com/site/data/html_dir/2004/05/06/20040506000077.html。5月25日アクセス)、実現までにはなお曲折が予想されます。

 ウ 在韓米軍の撤退
次に今年5月14日に米国は、上記第2師団(3個旅団編成)から一個旅団相当3000??4000人を今年の夏、引き抜いてイラクに派遣すると韓国政府に伝達してきました。この旅団が任務終了後に再び韓国に戻るかどうかについて、米側は明言を避けています。(http://english.chosun.com/w21data/html/news/200405/200405170034.html。5月20日アクセス)
この一個旅団相当のイラク派遣を聞かされてよほど狼狽したと見えて、韓国のウリ党、国防省、外交通商省はこぞって「韓国の安全保障に空白は生じない」という一言だけで後は音無の構えです。(http://english.chosun.com/w21data/html/news/200405/200405250048.html。5月26日アクセス)
またこれとは別に、一個旅団相当を米本土に撤収するという話も一部で報じられています(http://english.chosun.com/w21data/html/news/200405/200405170049.html。5月20日アクセス)。
仮に二個旅団相当の減ということになれば、これは1970年代にニクソン政権の下で行われた在韓米軍一個師団の撤退に匹敵する大幅な米軍の撤退ということになります。
 出すぞ出すぞと言いつつ遅らせてきたイラクへの韓国軍部隊の追加派遣の話(http://english.chosun.com/w21data/html/news/200405/200405170037.html。5月29日アクセス)など吹き飛ばしかねない米国の動きです

  エ コメント
 米地上部隊の軽量化と機動性の向上によって、特定の前方地域に地上部隊を配備しておく必要性は少なくなった、ということは事実ですが、日本(沖縄)から地上部隊である海兵隊・・沖縄にいなければならない必然性は全くない(拙著「防衛庁再生宣言」80??83頁参照)・・の撤退が計画されているという話は聞こえてきません。
 韓国だけから米地上部隊が大幅に撤退するということは、米国は北東アジアにおける同盟国として、米軍の前方展開及び兵站・中継ハブとしての機能を担っているところの「親米」日本を選択し、反米韓国は見限り放棄したということだ、と私は考えているのです。

(続く)

<江田島>
ご無沙汰してます。江田島です。韓国切捨ては
私も全く同じ見方です。大事なのは、北との関係をどうとらえるべきかです。以下の見方はいかがでしょうか。

まず、戦略地政学の立場で北朝鮮はどういう立場かというと、東アジアのシーパワーとランドパワーの緩衝地帯です。北は一国で中露韓の軍事力をひきつけ、その分日本への圧力は減ります。

中国古典の遠交近攻戦略から考えても、冷戦期を通じて地政学の観点から北の存在が日本には有利に働いていたことを理解すべき。

次に考えるべきは、北の拉致被害者やその子弟に対する扱いです。
帰国子弟の顔色みても分かりますがかなり優遇されてたようです。これは蓮池さんや地村さんについても同じ。

忘れてはいけません。今の時期、北は食料欠乏で大量の餓死者を出してるんです。

拉致自体は決して正当化できるものではありません。死んだ人、殺された人もいるで
しょう。その全容解明と補償、関係者処罰を求めるべきは当然ながら、拉致の背景に韓国との
死闘で北が日本を中継地にしてスパイ活動していた事実があります。

つまり、拉致とは南北朝鮮が地政学的対立をしている過程でおきた事件でありその対立で日本は間接的に韓国の軍事的脅威を感じずに済んだという面があります。李承晩が日本を攻めようとしたことを忘れるべきではありません。

つまり、拉致そのものと北朝鮮の存在は区別して考え、北の存在はそれが管理されたものであれば日本には好都合な防波堤と考えることができます。

では、北は管理できるのかという疑問があります。日本にはそれが可能なんです。
経済制裁や援助金のさじ加減で。

今後の日朝交渉の過程で考えるべきは拉致事件全容解明と同時に日本による北の保護国化です。北をコントロールすることにより、中露韓を牽制することができればそれは日本の国益でしょう。北をトロイの木馬とするんです。それができないようで
は一切かかわるべきではありません。金だけ取られるのは目に見えてますから。

私がこのように考える背景は、2015年には在日米軍が撤退するという憶測があるから
です。一部の基地のみ残して。

そのころまで、何もしなかったら北は崩壊し、中国の指導の下韓国に吸収され親中反日政権ができます。核つきの。そうなったら日本は限りない圧力にさらされ台湾ももたないでしょう。

それを避けるには北の延命により、中韓とのパワーバランスを図るしかないのではということ。アメリカがEUを分断するため、ポーランドを使ってるのと同じですね。

<読者α>
> 帰国子弟の顔色みても分かりますがかなり優遇されてたようです。これは蓮池さんや地村さんについても同じ。

拉致被害者、蓮池さんら4人は総入れ歯で白髪です。日本では隠せますが。帰国当時は労働のためにやせこけた体でした。チムラさんが帰国が決まった3ヶ月前から待遇が急に良くなったといってます。
餓死する北朝鮮人民よりはマシだったでしょうが。


> つまり、拉致そのものと北朝鮮の存在は区別して考え、北の存在はそれが管理されたものであれば日本には好都合な防波堤と考えることができます。

北をコントロールすることにより、中露韓を牽制することができればそれは日本の国益でしょう。

北中韓はそろって反日敵視政策を取っています。コントロールされることはあっても、することは無理でしょう。

>>
> そのころまで、何もしなかったら北は崩壊し、中国の指導の下韓国に吸収され親中反日政権ができます。

既に今も反日半島ですが。

そうなったら日本は限りない圧力にさらされ台湾ももたないでしょう。

核を持つことにより対峙できるのでは。

>
> それを避けるには北の延命により、中韓とのパワーバランスを図るしかないのではということ。アメリカがEUを分断するため、ポーランドを使ってるのと同じですね。

アメリカが恐れているのは、対中国において日本が中国サイドになることです。日本の安全保障が叫ばれる中アメリカに対する北朝鮮の役割は終わっています。