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太田述正コラム#9632005.11.23

<フランスにおける暴動(その13)>

 その一つが、皮及び皮製品輸入規制です。

 日本政府は、農産品の輸入規制を堅持する一方で、工業製品の輸入規制は撤廃させようとしてきました。しかし、木製品や水産製品とともに、皮及び皮製品については、工業製品だというのに例外的に輸入規制を堅持してきたのです。

 その理由は、部落民の生業を保護するためです(注25)。

(以上、http://www.atimes.com/atimes/Japan/GK09Dh01.html11月9日アクセス)による。)

 (注25)とはいえ、日本政府は国際的圧力を受けて、次第に皮及び皮製品についても輸入規制を緩和してきた結果、この10年間に日本の革靴の輸入は80%も増加し、日本での生産は40%も減っており、部落関係者は不満の声を挙げている。

 (5)回顧と展望

 以上駆け足で見てきたことからお分かりいただけると思いますが、戦後在日と部落民に「よる」差別に翻弄されてきたことが、日本人にとってトラウマとなっており、移民受入問題を冷静に議論することが困難になっているのです。

 とりわけ、人口比的には、1%にも満たない在日(注26)・・近代日本が初めて受け入れた移民・・に「よる」差別体験は大きいと考えられ、英国や西欧諸国のように10%にもなるような移民を抱えたら、日本は彼らにかき回されて無茶苦茶になる、と多くの日本人は思い込んでいるのではないでしょうか。

 

 (注26)終戦時には196万人まで在日は増えたが、1950年までに140万人が朝鮮半島に帰国し、56万人が残った。その後1959年から67年まで、朝鮮総連(目的は金王朝へのゴマスリ)と日本政府(目的は厄介者払い)が協力して行った北朝鮮への帰「国」運動により、9万人以上が帰「国」し、また、戦後60年間に27万人以上が日本に帰化した。しかし、人口増や日本人との結婚もあり、現在の在日人口はなお約60万人を数える。(http://www.sir.or.jp/contribution/01.html1122日アクセス)

     ちなみに、部落民は、1993年の数字で90万人弱だが、実数は300万人とも言われている(http://blhrri.org/nyumon/yougo/nyumon_yougo_01.htm前掲)。

 しかし、在日と部落民に「よる」差別に翻弄されてきたのは、敗戦によっても日本人の心暖かさは失われなかった一方で、敗戦によって日本人が自信喪失に陥ったからにほかなりません。

 日本人が、不条理なことには毅然と対処する気概を取り戻しさえすれば(注27)、新たに移民を受け入れても二度と翻弄されるようなことはあり得ないないでしょう。

 (注27)日本人が毅然と対処しなかったことが在日と部落民を堕落させたとさえ言える。日本人が気概を取り戻すためにも、米国の保護国的状況からの脱却・・吉田ドクトリンの克服・・が強く望まれる。

 そもそも、人口減少に直面している日本は、可及的速やかに移民受入をタブー視することをやめ、今後移民の受入を計画的に実施していく必要があります。

 国際移民機関(International Organization for MigrationIOM)によれば、例えば英国では、1999年から2000年にかけて、移民が支払った税金が、移民への政府支出を40億米ドルも上回っています。これに加え、移民による出身国へ仕送り額は、しばしば公的開発援助額を上回っています。しかも移民は、受け入れ国の人々の職を奪っているのではなく、低熟練・高リスクと高熟練・高収入という両極端の職域で働いています。だからこそ、移民は世界的にどんどん増えているのです。(http://news.bbc.co.uk/2/hi/europe/4117300.stm。6月23日アクセス)

 何と中共まで、下掲のように、移民を受け入れなければ日本の将来はないと指摘しています。

「現在、世界における国力競争というのは、人材資源の競争だ。国際的な人材市場において、日本が米国と対等に争うのは難しい。なぜなら、欧米の人材は日本社会に魅力を感じないからだ。しかし、アジアにおける特殊な地理的位置や世界第2の経済大国としての実力をもってすれば、アジアの人材を日本社会に呼び込む事は可能だ。国際人材市場における競争の中で、アジアの人材を本当に日本社会に呼び寄せる事ができれば、日本は強国としての地位を今後も維持できるだろう。さもなくば、日本の将来は楽観できない。」(http://j.peopledaily.com.cn/2004/03/26/jp20040326_37981.html。2004年3月29日アクセス)

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