太田述正コラム#1227(2006.5.11)

<裁判雑記(続)(その3)>

(06/04/10 11:05:48 - 06/05/11 11:07:54の太田HPへの訪問者数は、31,739人でした。先月の28,635人(06/03/10 10:07:57 - 06/04/10 11:04:55過去最高)を上回り、新記録を達成しました。(HPへの累計訪問者数は、683,994人です。)

裁判/創価学会問題と竹島問題が関心を集めたようです。

また、米国からのアクセスがこのところ再び伸びてきており、日本からのアクセスの7割弱に達したことと、米国の中ではネブラスカ州からのアクセスが一位を占めたことが特異な点です。

 他方、太田ブログ(http://ohtan.txt-nifty.com/column/)への月間アクセス数は、先々月の萬晩報効果の約9,500、そして先月の7,764を経て、9,245(ただし、06/04/11 00:00:00??06/05/10 24:00:00)と過去最高に肉薄しました。

 この訪問者数とアクセス数の単純合計で比較すると40,984人となり、過去最高であった先月の36,399人や先々月の約36,404人を大幅に上回る新記録を達成しました。

 (なお、メーリングリスト登録者数は1367名と、先月から20名増加しました。))


3 原告の準備書面

(タイトルは、「準備書面(1)」と記されている。第一回目の準備書面、という趣旨だろう。(太田))

第一 答弁書に対する反論

 1 答弁書1から3における主張の根拠として4(1)において、判例を引用し本件記事は論評であると主張する。しかし、当該判決で言う論評とは著作物自体あるいは当該著作物の著者に対する論評なのである。

  そもそも、同判決は、論評の内容に関し「著作部分に関する著者作者の執筆姿勢を批判する内容の記述」を前提にしているのであり、本の内容を紹介し、その記述内容に基づき間接的に事実を摘示した本件記事とは根本的に異質なものである。

  しかも、被告は、故意か過失かは定かではないが、答弁書4で引用した判例から上記前提部分を割愛していることは極めて不合理である。

 2 答弁書5(1)及び(2)は、公知の事実を新たに記事したことや原告の実名は記していないから名誉毀損は成立しないとする趣旨であろうが、この主張は、判例理論を無視した客観的論拠を欠くものであるから、以下詳述する。

  すなわち、判例では

 第1に

  「・・・意見・論評の表明に当たるかのような語を用いても・・・第三者からの伝聞内容の紹介や推測の形式を採用することによりつつ、間接的ないしえん曲に前記事実を主張するものと理解されるならば、同部分は事実を摘示するものとみるのが相当である」

   (平成9年9月9日最高裁判例、甲2??1)

 第2に

  「・・・真実性の立証対象となるのは風評ないし噂が存在したこと自体ではなく、その風評ないし噂の内容に関する諸事実である」

 (平成9年9月9日最高裁判例、甲2??1)

 第3に

  「・・・社会的に知れ渡っていたとしても・・・事実を真実であると信じるにつき相当の理由があったということはできない」

 (平成10年1月28日東京高裁判例、甲2―2)

 第4に

  「・・・被害者の指名を明確に挙示しなかったとしても、その他の事情を総合して何人であるかを察知しうるものである限り、名誉毀損として処断する」

   (昭和13年2月28日大審院判例昭和12年(れ)第2403号事件)

   と判示している。

 3 上記判例理論を基準に、答弁書での主張を検討すれば、以下のとおりである。

  第1に

    本件記事は訴状記載の通り、「創価学会員の原告が万引き事件をでっち上げ殺人事件を隠蔽した」との事実を摘示するものである。

  第2に

    被告の抗弁は、「創価学会員の原告が万引き事件をでっち上げ殺人事件を隠蔽した事実」の真実性に基づくものでなければならない。

  第3に

    多くのメディアにより原告の名誉を毀損する行為が先行し公知の事実となっていたことを根拠に本件記事は新たに名誉毀損は構成しないとの被告の主張は、責任回避の詭弁と言わざるを得ない。

    むしろ、公務と無関係な原告の宗派を特定し公表した本件記事は先行記事よりも悪質性が高いのである。

  第4に

    被告が提出書証の雑誌、インターネット、新聞においても頻繁に「千葉英司副署長」と表現している(乙1、乙2、乙5、乙7、乙8)。また、本事件発生当時や本件記事が掲載された前後の時期を含め、新聞や月刊誌において盗撮した原告の顔写真を掲載し、また、「東村山警察の千葉英司副署長」と明記して報道しているのであり、被告は、原告の実名は挙げなかったものの副署長とはすなわち原告であると察知しうるのである(甲3、甲4、甲5)。

  よって、本件記事は、「創価学会員の原告が万引き事件をでっち上げ殺人事件を隠蔽した事実」を摘示して原告の社会的評価を著しく低下せしめたものであることは明白である。

 4 なお、答弁書4(2)、6、7は、被告の独自の理論であることから反論は保留する。

 (甲は原告提出の証拠書類であり、乙は私(被告)提出の書庫書類。(太田))

第二 求釈明

   被告は「創価学会員の被告が万引き事件をでっち上げ殺人事件を隠蔽した事実」の真実性及び相当性について速やかに立証されたい。

4 地裁移送及び原告の準備書面(1)の感想

 (1)地裁移送

地裁移送についてはやむをえないとしても、私が答弁書で、原告の請求は趣旨不明であると主張している以上、簡裁の裁判官は、本当に140万円の損害賠償請求(だけ)でよいのかを原告に(口頭弁論の過程で、あるいは事実上)質すべきだったと思います。

 原告が請求内容を練り直すことは、原告を裨益するだけでなく、被告の私にとっても、原告の真意がより明確になるというメリットがあるほか、地裁での裁判を円滑に進めることにも資すると思われるからです。

 (2)原告の準備書面(1)の感想

 上述した請求の趣旨とも関連するのですが、原告と私が何を争点と考えているかが、全くといって良いほどかみ合っていないことを痛感させられます。