2006年05月21日

韓国の受験競争に思う

太田述正コラム#12482006.5.21

<韓国の受験競争に思う>

1 始めに

 前回、日本の受験競争の低年齢化の弊害について論じ、私の、公立小中学校の学校間格差を導入することを核とした小中学校教育の改革案をお示ししたところですが、お隣の韓国は、受験競争の低年齢化の弊害を全く逆の方法で是正しようとしてきました。

 私の印象ですが、これは結局失敗に終わったように見えます。

2 韓国での試み

 韓国では、中学受験競争の過熱に対処するため、1960年代から80年代にかけて平準化政策を遂行しました。

 その経緯をごく簡潔に申し上げれば、塾通い等の弊害(注1)に対処するために塾や家庭教師を禁止した上で、まず公立・私立を問わず中学入試を廃止し、中学校に抽選で生徒を割り当てることによって中学校の学校間格差をなくしたところ、今度は高校受験が過熱化したため、同様のやり方で高等学校の学校間格差をなくしたところ、今度は大学受験の過熱化に一層拍車がかったけれど、さすがに大学の学校間格差をなくすことには踏み込めなかった、といったところです。

 (1)受験の加熱自体の弊害と、貧富の差で学校外教育の機会が左右されるという弊害。

 しかし、ヤミの塾や家庭教師の横行を完全に取り締まることはできず、40年近く経って、ついにこれらは数年前に解禁され、現在に至っています。

3 現在の姿

 2001年における韓国のGDPに占める学校外教育費の割合は2.96%にも達しており、OECD加盟国の中で第1位です(http://www.clair.or.jp/j/forum/forum/jimusyo/159SEOUL/INDEX.HTM。5月21日アクセス。以下別記するまで同じ)。つまり、韓国人々は、世界一、子供を塾に通わせたり家庭教師をつけたりすることに熱心であるということであり、これは韓国の受験競争が世界一の激しさであることを物語っています。

 そして今や、12歳のうちから英語教室等に通わせるのが当り前になっています。

 この受験競争のストレスのため、子供達の毛根が栄養不足になり、幼児脱毛症患者が増え、育毛料の売れ行きが爆発的に伸びている、というウソのような話があります(http://members.at.infoseek.co.jp/konrot/genjyo12.htm

 この背景には、韓国が、日本よりも数頭倍凄まじい学歴社会である、という現実があります。

(以上、特に断っていない限りhttp://park.org/Japan/TokyoNet/aip/HOT/EDUCATION/korea_j.htmlhttp://www.shotoku.net/column/korea/column002.htmlによる。)

4 その結果どうなったか

 もちろん、受験競争が激しいことは、韓国の人々の平均的学力水準を、日本等と並ぶ世界最高峰の一つに維持することを可能ならしめており、だからこそ、韓国の一人当たり所得は、このところのウォン高もあって約2万米ドルに達し(典拠失念)、日本を射程にとらえる水準まで達することができたのです。

 一方、激しい受験競争には負の側面もありそうです。

一つは、受験競争が、むしろ韓国の人々の創造的思考力の向上を阻害しているのではないかと思われる点です。韓国がノーベル賞受賞者を平和賞以外では一人も出していないことが思い起こされます。

もう一つは、学校外教育費が嵩むことが、少子化傾向を促進している可能性があることです。韓国の出生率が世界最低となり、来年には何と1を切りそうであること(http://english.chosun.com/w21data/html/news/200605/200605080023.html。5月9日アクセス)はそうとでも考えないと説明がつきません。

更にもう一つは、劣化を始めた韓国の青少年の体位です。

2005年には、視力は更に低下し、アレルギーや鼻の疾患は増え、体力は落ち、身長まで、男子は引き続き伸びたものの、女子は、ついに縮んでしまいました(http://japanese.chosun.com/site/data/html_dir/2006/05/19/20060519000006.html。5月19日アクセス)。

5 感想

 日本と韓国は本当に良く似ています(注2)。

 

(注2)日本の青少年の身長は、男女とも横ばい状態になってしまっている(http://www8.cao.go.jp/youth/whitepaper/h16zenbun/html/honpen/hp010200.html。520日アクセス)。

前にも同趣旨のことを指摘したことがあったはずですが、受験競争及びそれを取り巻く諸問題についても、韓国は日本のカリカチュアではないかと思われるほどの類似が見られるのは、恐らく日本による朝鮮半島の植民地化という過去の歴史のしからしめたものであろう、と思うのです。



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