太田述正コラム#1821(2007.6.19)
<次の掲示板ができるまで>

1 始めに

 次の掲示板を準備中ですが、それまでの間、読者から私にメールで寄せられたご意見を適宜選んでコラムとして転載させていただきます。
 当然即時公開します。

2 読者の意見と私の返事

<読者ε>
一、中共の頭脳流出 #1812

>「支那」は昔からの移民の多いところであり、「中共」は、現在世界150カ国以上に約3,500万人の「支那」系移民を擁する世界最大の移民大国です。
この海外の「支那」系移民からの「中共」への送金は、毎年200億米ドルに達しています。
>ところが、最近「中共」は特殊な移民の多さに頭を抱えています。
>「中共」からの海外留学生で本国に戻らない者が多い、という問題です。

 (注)「」は原文にはない。

 「支那」「中共」「支那系」という用語が的確であること感心しています。

二、防衛庁再生宣言の記述をめぐって(続x6)#1814

>もう一つ、「専門家」に求められるものがあります。
>それは、木を見てかつ森が見える、ということです。
>日本の社会科学がなぜダメかについてはいくつか理由がありますが、その大きな一つが、専門家の教育が、専門分野の教育だけに偏っていることです。
>米国では、学部の4年間すべてが教養課程のような趣があるだけでなく、博士号取得をめざす院生でも、修士課程で、専門分野よりはるかに広汎な分野の教育を徹底的に受けます。裾野が広くなければ山は高くなれないのです。

 まったく同感です。「人文科学」(文学、古典語を含めた語学、宗教学、心理学など)はとくに重要と考えます。「防衛」というものも、人の心をある目的に集中させる政治現象の一場面であると思うからです。

三、軍事と国家 #1815

>軍事は国の大事です。

 「軍事は国の大事です。」と聞くと、ただちに『孫子』の冒頭の言葉を思い浮かべます。
 『孫子』の冒頭の言葉、「兵は国の大事である」という立言に対して、「では、ほかに国の大事があるか?あるならばそれは何か?」ということが問題となります。
 この問題に応えて、杜牧は「国の大事とは、祀(祖先をまつること)と戎(武器=国を守ること)である」と言います。現代風に言えば、歴史と国防である、ということになりましょうか。
 日本の現状を思うとき、感慨深いものがあります。

四、梅屋庄吉をめぐって  #1820

>以上をお読みになって、日支間にも友好時代があった、そしてその友好を担った素晴らしい日本人がいた、と思われたのではないでしょうか。

 まったくそうは思いません。
 人を助けるには「教養」が必要であると痛感します。
 支那人の特質は「身内」を大切にすることだと聞きます。
 この特質は、人倫の美風ともいえますが、その反面、「公」より身内を大切にして汚職の根源ともなります。
 梅屋庄吉氏はこの性向が強く、したがって「知り合い」を優先して、国益に盲目であったといえましょう。わたしたちはこうした無教養を克服しなけければならないと考えます。

<太田>
>「支那」「中共」「支那系」という用語が的確であること感心しています。

 差別用語を使うなと読者の方々からお叱りを受け、コラム#294で詳細に説明をさせていただいた経緯があります。

>杜牧は「国の大事とは、祀(祖先をまつること)と戎(武器=国を守ること)である」と言いま<した。>

 千里鴬啼いて緑紅に映ず
 水村山郭酒旗の風
 南朝四百八十寺
 多少の樓台煙雨の中

という、昔漢文の時間に習った『江南の春』の作者の杜牧(とぼく。803〜853年)がそんなことを言っているとは知りませんでした。
 さっそく、祀と戎の話をネット上で探してみたのですが、残念ながら発見できませんでした。
 ちなみに杜牧は、晩唐期の詩人であり、杜甫の「老杜」に対し「小杜」と呼ばれ、また同時代の李商隠と共に「晩唐の李杜」とも称されており、 25歳で進士に及第し、一族を養うためもっぱら地方官のポストを転々とした人物です。「捲土重来」という言葉は、彼のある漢詩に由来します。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%9C%E7%89%A7
 
>支那人の特質は「身内」を大切にすることだと聞きます。

 同感です(コラム#232、233)。
 ただ、蒋介石夫妻や張学良(コラム#187、290、292)あたりまではまさにその通りですが、毛沢東に至っては、自分だけを大切にしたとしか思えません(コラム#204、744〜746、750、1640。なお、#50も参照)。
 このような意味で支那離れをした「スケールの大きい」人物だったからこそ、あれだけの悪事を働いても、いまだに中共の大衆の間で根強い人気がある(コラム#134)のでしょう。

<田吾作>
 一人の人間が運営しているホームページに以前引用元にあげた「科学と技術の諸相」
http://www005.upp.so-net.ne.jp/yoshida_n/index.htm)があり、その中に索引ページ
http://www005.upp.so-net.ne.jp/yoshida_n/kensaku.htm)があります。
 一人の科学者が解説しているので見解がブレない特徴があり、しかも現在も更新中ですので資料の蓄積及び訂正もなされ、本人の能力も向上していますので解説に深みも増して来ています。

 また質問すると時間はかかりますが回答してもらえます。ちなみに私の質問は「Q&A」
http://www005.upp.so-net.ne.jp/yoshida_n/qanda.htm)の2006年の「海の水はなぜ塩辛いのか?・・」と「われわれは、逆さまになった世界を見ることができません。・・」です。

 最近の論戦には「唯我論」が参考になると私は考えますが一度覗いて見てはいかがで
しょうか。

<太田>
 自由意志のところと、正法眼蔵のところを覗いてみましたが、そのものズバリの「唯我論」について論じた箇所は発見できませんでした。
 サイト主の吉田伸夫先生のことをもっと知りたい気にさせられましたが、いずれにせよ、科学哲学の世界は、私にはちょっと敷居が高すぎそうです。