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太田述正コラム#1823(2007.6.20)
<米国の保護国日本>(2007.7.1公開)

 (これは無料版ですが、今回に限り、例外的に今期の有料読者にも配信します。(2007.7.1))

 2007年7月〜12月期の最初のコラム(ただし、前期の有料読者には6月20日配信済のもの)をお送りします。
 今期の会費を納入しているにもかかわらず、このコラムが(まぐまぐ経由でなく)直接私から届かなかった方は、至急お申し出ください。
 前期の会費納入者に半年間、全くコラムを配信していないケースを1件昨夜発見し、この方に、おわびとともにバックナンバー(主要投稿付き)をお送りしたところです。
 今期会費納入者は、昨日の時点で92名です。このほか、納入意思を伝えてきておられる、前期の有料読者が(1名増えて)4名、新規申し込み者が2名おられます。
 合計すると98名になりますが、果たしてこの6名全員が納入されるか心配しています。
 新たに有料会員に手を挙げられる方はおられませんか?
 また、前期及び今期の有料読者で希望される方には、昨日までのバックナンバー(主要投稿付き)をお送りしますので、ご連絡ください。
 最後に、読者の声を掲載します。

<昨日会費を納入された既存有料会員>
 これからもコラムを楽しみにしています。
 体に気をつけて頑張ってください。

<昨日会費納入意思を表明された既存有料会員>
 太田述正 様、いつも楽しませていただいております。
 これからさらに数日は米国東海岸での学会で出張中です。
 チェックが遅れてましたが、「!(最終x2)」に対して更新希望と、返答しておきたいと考えました。
 米国での発表は、言葉のハンディはあるものの、国内と比べて議論がかみ合うことが多く刺激になります。
 日本人の発表は慎みがあるものの、無理な膨らませ方がないので、信用置けると、おおむね好評です。
 何事にも両面がありますね。
 では、また連絡させていただきたいと考えております。 チェックが遅れてましたが、「!(最終x2)」に対して更新希望と、返答しておきたいと考えました。
 米国での発表は、言葉のハンディはあるものの、国内と比べて議論がかみ合うことが多く刺激になります。
 日本人の発表は慎みがあるものの、無理な膨らませ方がないので、信用置けると、おおむね好評です。
 何事にも両面がありますね。
 では、また連絡させていただきたいと考えております。
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 (「フォーラム21」2007.7.1号に掲載されたものに脚注・典拠を付加。(2007.7.1))

 米国が東京の大使館の土地賃料を日本政府に支払っていない(注1)ことを問題視し、これでは日本は属国扱いではないか、という声があります(
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/news/20070410dde012070011000c.htm 
。4月10日アクセス)。

 (注1) 在日米国大使館の13,000平米の土地は国有地であり、米国は1984年から97年まで、年額約250万円の賃料を払っていたけれど、97年に日本側が賃料値上げを申し入れ、話し合いがこじれたままそれ以降、このわずかな賃料すら全く支払われていない。

 「属国扱い」じゃありません。日本は文字通りの米国の属国(保護国)なのです。
 英語版のウィキペディア(
http://en.wikipedia.org/wiki/Protectorate
)は、「保護国(protectorate)とは、主権国家<等の>・・政治的存在(political entity)が、宗主国(protector)と称されるより強い国家と公式に条約によって不平等な関係を取り結び、この宗主国が外交的にあるいは必要に応じ軍事的に、この政治的存在を第三国等から守ることを約束し、その見返りとして、この政治的存在が宗主国に対し、両国の関係の実態に応じ大いに異なるところの、特定の諸義務を通常負うものを指す」としており、この保護国を日本、宗主国を米国、条約を日米安保条約と読み替えれば、ぴったりあてはまることがお分かりいただけると思います。
 米国の保護国日本が、宗主国にいかに「搾取」されているか挙げてみましょう。
 まず、日本の首都圏は、米国の他の同盟国では考えられないことですが、米軍の基地だらけです(注2)。しかも、首都圏の空域の航空管制権は米軍がほぼ全面的に握っています(
http://www.bund.org/opinion/20050215-1.htm
。6月19日アクセス)。

 (注2)米国の同盟国であるドイツの首都ベルリン圏にも、同じく同盟国である英国の首都ロンドン圏にも米軍基地はない(
http://www.quaker.org.uk/shared_asp_files/uploadedfiles/F888D95D-F0EA-491D-9D81-6893029E4E19_US_Bases_Pictures.pdf
http://www.germany.info/relaunch/info/publications/infocus/bases/map_interactive_ETIC.html#maptop
(どちらも6月19日アクセス)。あの38度線近くの韓国の首都ソウルからさえ、米軍の移転が決まっている(
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik3/2004-07-25/07_01.html
。6月19日アクセス)。
 ところが、日本の首都圏には、東京の通勤圏内に在日米軍司令部、陸軍司令部、海軍司令部(原子力空母配備予定)、及び空軍司令部等の米軍基地がある(
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik4/2005-05-15/05_01_0.html
。6月19日アクセス)。

 この点に関する限り、日本は米国の保護国どころか、終戦当時から引き続き米国の占領下にあると言えるでしょう。
 次に、やはり米国の他の同盟国ではまず見られないことですが、日本は在日米軍駐留経費を(半分も)負担させられています。米軍基地の土地借料分を計算に入れると、日本は米軍の駐留経費の実に8割を負担している勘定になるのです(bund上掲)。
 しかも日本は、米軍基地の正規の日本人労働者のほか、米軍基地内の独立採算制のハンバーガー店等の日本人労働者の給料まで負担しています。
 その結果、米軍は減っているのに基地労働者はどんどん増えている、という笑い話のようなことが生じています(注3)。
 (以上、特に断っていない限り
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/news/20070522k0000m040102000c.html
(5月22日アクセス)による。)

 (注3)在日米軍は、駐留経費負担が始まった1978年度には4万5,939人だったのが、2006年度(9月末現在)では27%減の3万3,453人まで減少したというのに、米軍基地内で働く日本人従業員は、1978年度2万 1,017人だったのが、2006年度(同)には逆に2万5,403人へと2割も増え、今では、米軍100人あたり基地従業員が75.9人もいる。ちなみに、韓国は米軍100人当たり47.2人、イタリアは43.1人、ドイツは30.8人だ。
 
 また、何事によらず日本は米国の言いなりになっている、と不愉快な思いをされていませんか。
 1991年の湾岸戦争以来、対アフガニスタン戦争、対イラク戦争、と日本は無条件に米国のためのキャッシュディスペンサー役を引き受けさせられてきましたし、日本の国内の「改革」も米国の指示に従って行われてきました。日本の対北朝鮮政策だって、何のことはない、米国の掌の上で踊っているだけのことです。(典拠省略)
 しかし、これらはすべて身から出た錆です。
 憲法第9条に忠実に、使い物にならない自衛隊を維持するとともに、諜報機関も持たずして、米国に日本の外交・安全保障を委ねる、という吉田ドクトリンなる国家戦略を日本は堅持してきたのですから、その日本が米国によって「搾取」されるのは、ごく当たり前のことだと思いませんか。
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<太田>(2007.6.20)
 カンパは22名29口、15万円に達しています。引き続きカンパのお申し出をお待ちしております。
 既存の有料読者でない方によるカンパのお申し出は、有料購読の新規申込同様、
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 昨日1200頃までに次期会費納入済みの方はわずか43名にとどまっています。会費の納入は28日までにお早めに!!(数字の誤りを訂正しました。)

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