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太田述正コラム#1800(2007.6.9)
<英サウディ不祥事(その2)>(2007.7.27公開)

3 隠蔽工作

 BAEは、英国防省と「調整」しつつ、賄賂がばれないようにありとあらゆる隠蔽工作を行ってきました。
 1997年に英国が、国際間の商取引における賄賂の支払いを禁じるOECDの取り決めに調印することになった時点で、BAEは、外国人エージェントへの賄賂の支払いを本社から切り離して新しい子会社にやらせることとするとともに、実際の支払いはスイスで行うことにし、そのためにジュネーブにその子会社の支店を設けました。
 1999年に上記取り決めが発効すると、今度は上記子会社を、英国から、タックスヘーブンとして知られる英領バージン諸島に移しました。
 そして、エージェントとBAEとの契約の締結や契約の改訂は、スイスの弁護士2名が関与してジュネーブの支店で行い、契約書はその支店が保管し、エージェントへの支払いは、しばしばスイスの銀行口座に振り込む形で行いました。
 また、1998年に英領バージン諸島にBAEの子会社をもう一つ設立し、同じようなことを行わせました。そして、この子会社のロンドン・スイス・ニューヨークの銀行口座を通じて賄賂をエージェントに支払いました。
 こうして、少なくとも南アメリカ・タンザニア・ルーマニア・南アフリカ・カタール・チリ・チェコのエージェントに賄賂が支払われたことが分かっています。
 後者のBAE子会社は、英国人の「コンサルタント」にもカネを流していました。
 BAEは、更に1999年に、サウディのアル・ヤママ取引だけを扱う第3の子会社を英領バージン諸島に設立しました。
 ちなみに、賄賂のカネの流れには、すべてBAEのメインバンクであるロイドTSBが関与していました。
 サウディで賄賂をもらっていたエージェントは、もちろんバンダルだけではありません。BAEは、サウディの空軍司令官のナセル王子(Prince Turki bin Nasser)とその親戚や取り巻きに、無制限に買い物をさせ、航空券や休暇旅行を提供してきました。その経費総額は既に6,000万英ポンドに達しています。
 この場合は、BAEは二つの旅行会社に経費を負担させる体裁をとり、それをわけの分からない経費名目で補填してきたのです。

4 不祥事の露見まで

 ところがそこへ、驚天動地の事件が起こります。
 2001年9月の同時多発テロです。
 この事件の結果、米国がテロリストへの資金の流れを絶つために、あらゆる資金洗浄に目を光らせるようになったのです。
 米国政府の強い要請を受けたため、英国は2002年に反資金洗浄措置法を導入する羽目になります。この中で、海外向けの賄賂が、たとえ海外で提供された場合であっても、刑罰をもって禁止されたのです。

 (3からここまでは、もっぱら
http://www.guardian.co.uk/baefiles/page/0,,2095840,00.html
(6月9日アクセス)による。)

(続く)
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<太田>
 掲示板上での軍事サークルの方々との間の連日の議論が、やや品位を欠いた流れになっています。
 大変残念ですが、そろそろ店じまいをする時が来ているのかもしれません。
 いずれにせよ、軍事知識の余りない方も、一度目を通されるようお奨めします。

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